子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というありふれたウイルスの感染が原因で起こります。日本では毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約2,900人が亡くなっています。20〜30代の若い世代に多いのも特徴です。HPVワクチンは、この原因ウイルスの感染そのものを防ぐことで、子宮頸がんを高い確率で予防できるワクチンです。
HPVは特別なウイルスではなく、性経験のある人の多くが一生に一度は感染すると言われています。ほとんどは自然に排除されますが、一部の人で感染が続くと、数年〜数十年かけてがんに進行することがあります。だからこそ、ウイルスに出会う前(小学6年〜高校1年ごろ)に接種しておくことが最も効果的です。
海外の大規模な研究でも効果は明らかです。スウェーデンの報告では16歳になる前に接種した女性は子宮頸がんの発症が約88%(約9割)減少し、スコットランドの報告では14歳までに接種した世代で子宮頸がんの発症が確認されなかったと報告されています。
HPVワクチンをお勧めする5つの理由
当院で使用するシルガード9(9価ワクチン)は、子宮頸がんの原因となるHPVの約80〜90%をカバーします。がんの手前の状態(前がん病変)も大きく減らせます。
HPVは子宮頸がんだけでなく、中咽頭がん(のどのがん)や肛門がんなどの原因にもなります。これらは男性もかかる病気で、男性への接種にも意義があります。
性感染症のひとつで、皮膚にイボができ、治療しても再発しやすい病気です。男女ともにワクチンで予防できます。
出産のときに母親からHPVが赤ちゃんにうつり、のどに腫瘍が繰り返しできる「若年型再発性気道乳頭腫症」という病気の予防にもつながります。
HPVは性交渉でうつるウイルスです。自分が接種しておくことは、将来のパートナーへの感染を防ぐことにもつながります。男女ともに接種が広がるほど、社会全体でHPVが原因のがんを減らすことができます。
HPVワクチンは女性だけのものではありません。HPVは男性にも中咽頭がん(のどのがん)・肛門がん・尖圭コンジローマを起こす原因になり、これらは男性自身がかかる病気です。さらに、男性が接種しておくことは将来のパートナーへの感染を防ぐことにもつながります。
オーストラリアなど海外では男女ともに接種するのが標準です。日本では男性は公費(無料)の対象外で任意接種となりますが、男の子への接種にも十分な意義があります。お子さまが男女どちらでも、接種をご検討ください。
安全性について
HPVワクチンは、世界中で使われている安全性の確認されたワクチンです。WHO(世界保健機関)も接種を強く推奨しており、日本でも国が接種を積極的にお勧めしています(2022年4月に積極的勧奨が再開されました)。世界ではこれまでに数億回分が接種され、アメリカ・フランス・イギリスなどの大規模な調査でも安全性が確認されています。
接種後に注射部位の痛みや腫れ、だるさなどが出ることがありますが、多くは数日でおさまります。かつて報道された体の震えや記憶障害などの多様な症状については、国内外の大規模な調査でワクチンを打った人と打っていない人で発生する頻度に差がないことが確認されており、ワクチンが原因ではないとされています。ご不安な点は、接種前に医師にお気軽にご相談ください。
ワクチンについて
| ワクチンの種類 | シルガード9(9価ワクチン):9種類のタイプのHPVの感染を防ぎます。子宮頸がんの原因の約80〜90%をカバーする、現在最も予防範囲の広いワクチンです。 |
|---|---|
| 接種回数 | 15歳になる前に1回目を受ける場合:合計2回(1回目から5か月以上あけて2回目。標準は6か月後) 15歳以降に1回目を受ける場合:合計3回(1回目→1か月以上あけて2回目→2回目から3か月以上あけて3回目) |
| 接種方法 | 腕の筋肉への注射です。接種後は院内で30分ほど休んでいただきます(緊張や痛みで一時的に気分が悪くなることがあるためです)。 |
| 主な副反応 | 注射した部位の痛み・腫れ・赤みが比較的よくみられますが、通常は数日でおさまります。重い副反応はまれです。 |
加西市の定期接種(対象の方は無料)
対象期間を過ぎると全額自己負担になります。無料で受けられるうちの接種を強くお勧めします。詳しくは加西市の予防接種のページ、または加西市健康課(TEL: 0790-42-8723)でご確認ください。
費用について(定期接種の対象外の方)
定期接種の対象外の方は任意接種(自己負担)となります。
15歳以上で1回目を受ける場合は合計3回の接種が必要です(費用は回数分=合計85,500円となります)。男性の接種や、接種スケジュールについてのご相談も承ります。
ワクチンを受けた方も、20歳からの子宮頸がん検診は引き続き大切です。ワクチンはすべてのタイプのHPVを防ぐわけではないため、接種と検診の両方でしっかり予防しましょう。